日本雪氷学会北海道支部「雪氷災害調査チーム」が調査結果を公表
3月10日に三段山(1748㍍)の南側斜面山頂直下で発生した雪崩事故(埋没したカナダ人男性は13日現在、意識不明の重体)に関して、日本雪氷学会北海道支部「雪氷災害調査チーム」(三段山クラブ・大西人史さん、佐々木翔平さん、坪島拓也さん)の現地調査と分析結果が13日、公表された。典型的な面発生乾雪表層雪崩(ウィンドスラブ雪崩)で、三段山で起きた雪崩としては記録で確認出来る限り前例のない過去最大、カミフ山岳エリア全体でも記録的な規模の大きな表層雪崩であることが分かった。調査チームは引き続き、この山域全体で積雪は非常に不安定になっているとして、注意喚起している。
画像データは全て、日本雪氷学会北海道支部「雪氷災害調査チーム」の公表データから転載した。

分かっている情報を総合すると、雪崩は3月10日午前10:15~20、三段山山頂直下で、山スキーの4人パーティー(日本人2人、外国人2人)の「人的トリガー」(スキー滑降)により発生したとみられ、メンバーの1人、カナダ人男性が最下部のヌッカクシフラヌイ川ボトム(「安政火口」)まで雪とともに流下し、ボトムで約2㍍埋没した。雪崩トランシーバーを使ったコンパニオンレスキューにより埋没地点が特定され、同行者3人と付近にいた登山者5人も加わり、シャベリングにより埋没から約20分後に掘り起こされ、連絡を受けた道警ヘリにより病院に運ばれた。
「雪氷災害調査チーム」の調査速報では、雪崩発生地点は、三段山山頂の直下、標高1715㍍の南西斜面で斜度は43度だった。山頂直下で破断した雪面は地形に合わせて直線ではないが、破断面の長さは約100㍍に及んでおり、破断の高さは最大82㌢(15~82㌢)。漏斗状の沢状地形を大量の上載積雪が流下した走路が確認でき、デブリは安政火口のボトム最低標高1462㍍まで達していた。埋没者は標高1487㍍で、雪下約2㍍から掘り起こされた。


走路は幅約100㍍、標高差253㍍。雪崩の長さは水平距離468㍍、走路長530㍍、雪崩のサイズは「2.5」と評価される。2007年11月に上ホロカメットク山・化物岩脇が起点となった雪崩(化物岩下の安政火口を移動していた日本山岳会北海道支部の4人が死亡)の標高差約210㍍、水平距離約430㍍、走路長=延長距離約490㍍の規模も上回っている。

積雪内部の不安定性&安定性を点検するCT(シャベルコンプレッションテスト、弱層テスト)の結果としては、トリガー地点付近の斜面上部では日照や温度変化により積雪が溶けて再凍結した融解凍結クラスト面と、その上面のこしもざらめ雪(FC)の弱層が確認でき、このクラスト面上部が滑り面となって、面発生乾雪表層雪崩が起きたとみられる。
カミフエリアでは、3月5日にもこの雪崩現場にも近い三峰山沢で2か所の斜面が雪崩れて、台湾人スノーボーダー男性が深さ4.1㍍の雪に埋没しているが、この日の発表では3月5日~11日の期間、自然発生も含めて6か所で雪崩が確認された。大西さんたち3人が調査を行った11日も行動中、「ワッフ音(積雪内部の弱層が人の重さで破壊・伝播した時に発生する音)が7〜8回観測され、簡単な刺激で雪崩が起きる状況だった」という。霜系弱層は長期間維持されるため、この山域に入る登山者は当分の間、注意が必要だろう。

