安足間岳や愛別岳など大雪山系の登山口の一つ、上川町・愛山渓温泉「愛山渓倶楽部」(標高1000㍍)の今後に暗雲が立ち込めている。上川町から9年間委託運営を受けて営業してきたりんゆう観光(札幌)が今年10月5日の今季営業最終日をもって委託運営に終止符を打ち、来年以降の運営から手を引くことが愛山渓温泉のホームページで公表された。
建物や温泉の所有者である上川町によると、来年以降の運営、営業の可否は現時点ではっきりしていないという。登山者にとっても重要な拠点だった、源泉かけ流しの炭酸水素塩泉の山中の秘湯の宿の今後が心配される。
大雪山系の上川町では今夏、高原沼などの沼巡りや緑(松浦)岳の登山口である高原温泉「大雪高原山荘」(標高1260㍍)が7月、所有者である日本製紙から営業休止が正式に発表され、来年以降の営業再開も危ぶまれている。
源泉かけ流しで白濁湯の山中の秘湯宿には熱烈なファンが多いこともあるが、愛山渓温泉ともども大雪山系登山の重要な拠点でもあり、除雪や車両通行の前提でもある秘湯温泉宿の相次ぐ営業休止の今後が気になる。
愛山渓温泉 明治末期に発見され、大正時代後半に温泉宿としてスタート。1936年(昭和11年)に自動車道路約20㌔が完成し、表大雪の登山口の一つと位置付けられて温泉宿は増改築。戦後になって1948年(昭和23年)、旭川林務署が隣接地に山小屋「愛山荘ヒュッテ」を建設。温泉宿は1950年(昭和25年)、愛別村の村営宿泊所「愛山渓クラブ」となり、1980年(昭和55年)に「上川町営愛山渓青少年の家」として、現在の鉄筋コンクリート2階建ての本館が完成。2000年(平成12年)から15年間、国道39号入口の愛山渓ドライブインが「愛山渓倶楽部」の名で委託運営、2017年(平成29年)からりんゆう観光が委託運営に当たってきた。


