8月14日、知床半島・羅臼岳(1660㍍)の斜里側登山口(岩尾別温泉)に近い標高560㍍付近の岩尾別コース登山道上で、東京都の男性(26)がヒグマ成獣に襲われて亡くなった事故に関して、知床財団は22日、事故調査速報を発表した。
それによると、 事故発生時、被害男性は同行登山者から離れて<警察発表では約200㍍>先行して、早いペースで走って下降していた(いわゆるトレラン)と推測され、見通しが悪い登山道上でヒグマの親子に遭遇したとみられる。熊鈴の所持は確認されているが、熊スプレーの所持については確認できていない。同行者は後方から追いついた時点で応戦と救助を試みたが、救出はできなかった。同行者は「クマよけスプレー」と謳った商品を所持していたが、ヒグマに対応した製品ではなく、かつ再利用品で、噴射はできていない。ヒグマが被害者から離れなかったため、同行者は携帯電話の通じる登山道上に移動し、11時10分に警察へ通報を行った。被害男性は事故現場より南側の林内にひきずりこまれたとみられる。
翌15日13時過ぎ、捜索救助隊が現場に入り、現場付近の山林から被害男性を咥え、引きずりながら斜面を移動する親グマと周辺に2頭のグマがいるのを発見し、3頭とも捕殺、親グマはメスで11歳、体重117kg、体長140cm、 子グマはメス1頭、オス1頭でともに0歳、体重17kg/17kg、体長72cm/71cm、解剖調査とDNA分析等の結果、被害男性を襲ったクマと確定できた。
ちなみにこの母グマは、生まれた2014年以来、毎年継続的に岩尾別周辺で行動が確認されており、今年に入り当該親子グマと思われるヒグマの目撃情報が30件以上寄せられていたほか、8月10日に羅臼岳登山道付近で当該親子グマと思われるヒグマの目撃情報が登山者より通報があり、8月12日にも同じ登山道上で、登山者に約5分間にわたり接近と離反を繰り返す行動を見せた成獣1頭が確認されていて、今回の母グマと似ていたという。

調査速報添付の図面<事故現場周辺の位置関係>
被害男性が岩尾別コースの登山道上標高560㍍地点でヒグマ親子と遭遇した場面は、後方にいた同行男性も含めて誰も目撃しておらずあくまで推測になるが、現場付近で偶発的に遭遇し、ヒグマ側が攻撃してきた可能性が考えられる。捕殺された母グマは11歳で毎年のように目撃されていた個体で、連れていた子グマ2頭は今年出産して冬眠後も連れだって行動していたとみられる。